2012年4月3日火曜日

出遅れのアルミ相場、年内に最高値も

非鉄金属の国際指標を形成するロンドン金属取引所(LME)で、銅など他の金属に比べ出遅れ感があったアルミニウム相場がじわじわ騰勢を強めてきた。原油高などによるエネルギー価格の上昇で生産コストが膨らんでいるほか、主要な供給国である中国が国内消費を急激に拡大、原料鉱石や地金を大量に輸入していることが背景にある。

指標となる3カ月先物相場は17日時点で1トン2439ドル。非鉄の騰勢が目立ち始めた2003年初めと比べ2倍近くに上がっている。ただ銅は約4倍、鉛は約6倍に跳ね上がっており、アルミの上昇率は相対的には低かった。

銅など上げ幅が大きい金属は原料鉱石の埋蔵量が限られており、需要増による需給の逼迫(ひっぱく)感が相場を押し上げてきた。これに対し、アルミ原料のボーキサイトは地球上に豊富に存在しており、需要が伸びても逼迫感は台頭しなかった。これが上値を抑えてきたが、今後は独自の強材料が相場に影響してきそうだ。アルミ精錬に必要な電力コストが大幅に上がっているのだ。

アルミは「電気の缶詰」と呼ばれるほど生産には大量の電力が必要で、コストの半分以上を電力が占めるとされる。原油高の影響で石油や石炭などエネルギー価格が軒並み上昇しており、つれて製錬所の電力コストも上がっている。一部の割高な電力を使っている製錬所にとって現状の相場はコストぎりぎりの水準といい、今後は電力コストが相場を押し上げる要因として意識されそうだ。

需要の伸びも強材料だ。主要生産国である中国では原料ボーキサイトも多く採れるが、国内消費の急増で原料輸入も増えている。05年は200万トン程度だったが、07年は2400万トンと10倍以上に拡大したもよう。08年も3000万トン近くに膨らむ見通しだ。中国は地金の輸入も増やす方針で、市場では「従来の輸出国から08年後半には実質的に輸入国に転じる可能性がある」との指摘も聞かれる。

アルミの過去最高値は06年5月の3310ドル。エネルギー高が長引けば、年内に同月以来となる3000ドルに乗せる可能性がある。材料次第では最高値を更新するとの見方もある。