2016年2月10日水曜日

辞職の理由

国会の本会議、委員会でも数は重要である。本会議では三分の一、委員会では過半数の議員の出席(定足数)を得た上で、過半数により決し、可否同数の場合は、議長、委員長が決する。法案は委員会の審議を経て、本会議での討論採決となるから、ここでも多数を制しているか否かが重要である(もっとも議事日程を決める議事運営委員会は、慣例上全会一致である)。

会派という国会内の組織も、政党そのものである場合と、いくつかの政党(ミニ政党を含む)や無所属議員から構成される寄り合い所帯の場合があるが、会派が注目されるのは、国会審議の段取りなどを決める際に重要になる委員長などの選任が、会派の所属議員数に比例して行われるからである。

いくっかの政党の所属議員が一つの会派としてまとまれば、それぞれの政党が単独で会派を届け出た時よりも、国会審議などに与える影響力は大きい。つまり所属議員数が多数であればあるほど、多数決ルールでは有利にゲームを展開できる。こうして各政党は多数派を目指すゲームに励むのである。

はじめに、六年間の政治権力の流れを追っておこう。「私は今しがた、連立与党党首代表者会議、臨時閣議で総理職を辞する旨を申し上げ、了承いただいた。昨年八月に就任以来、自民党政権下でなし得なかったいくっかの改革をなしとげ、わが国の将来に向けた懸案についても年内にとりまとめ、あるいは道筋をつけることができたことは望外の喜びで、国民の理解と協力に感謝申し上げる」一九九四年四月八日、就任後八ヶ月、あまりに唐突な印象を世間に与えた川首相辞任の記者会見は、このような冒頭の挨拶ではしまった。

辞職の理由としてあげた多くは、かねて細川を悩ましていた金銭スキャンダルにまっわるものであった。佐川急便グループからの一億円の借り入れは政治資金規正法にのっとり適正に処理し、義父に渡ったNTT株も基本的に問題はないが、それとは別に、個人の資産運用について法的問題が明らかとなったために、道義的責任を負わなければならないというのである。