2012年4月12日木曜日

液晶テレビ、人気も価格も「32型」優位に

年末商戦の目玉商品となっている液晶テレビ。家電量販店の売り場ではいくつも並んだ大画面映像が人目をひき付ける。大型化による迫力映像への驚きが消費者の購買意欲を刺激して、市場が拡大してきた。ただ、最近は32型に人気が集中する一方、40型以上の売れ行きが伸び悩んでいる。液晶パネルメーカーがテレビメーカーに販売するパネルの価格も、32型が独歩高の様相を呈している。

32型パネルの大口需要家向け価格は現在、中心値が1枚332ドル。11月より2ドル上昇し、2006年12月以来の水準を回復した。4月以降、上昇基調が続いている。一方、42型は547ドルと前月比横ばい。10月に2ドル高くなったが、その後は上昇が続かない。

パネルメーカーの間では「32型の需要が強まっているのに対し、42型以上は動きが鈍い」(韓国のメーカー)といった声が聞かれる。シャープは従来42型以上のパネルを生産していた三重県亀山第2工場でも32型の生産を始めた。自社製品向けだけでなく、他のテレビメーカーへの外販も拡大している。

量販店の担当者は「住宅事情を考慮して、40型以上は置きづらいと判断する消費者が目立っている」(ヨドバシカメラ)と話す。世界的にも「北米市場のみ46型が人気だが、新興地域なども含めて売れ筋サイズは来年以降も32型」(調査会社のディスプレイサーチ)といった見方が有力だ。

新興地域の需要は特に低価格志向が強く、コスト競争力のある台湾パネルメーカーの優位性が強まりそうだ。一方、大型のガラス基板から40型や50型以上のパネル生産を想定した大規模な設備投資に動いたシャープや韓国サムスン電子などの大手にとっては「誤算」ともなりそうだ。40型以上のパネル生産に適した大型ガラス基板から32型パネルを生産すると、効率が落ちコスト増となる。
テレビの低価格化はさらに続くとみられ、大手各社は今後、事業採算やコスト競争力を維持する上で生産計画の修正なども迫られそうだ。