2015年6月10日水曜日

パチンコの型式試験を独占

警察庁所管の財団法人「保安電子通信技術協会」は、パチンコの型式試験を独占的に行う指定法人である。都道府県公安委員会の委託を受け、国が定めた技術上の規格に照らしてパチンコが適当に稼働するか、を調べるためコントローループログラム解析などの型式試験を行う。

「指定試験機関」に法律に基づき指定されたのは同財団設立三年後の八五年二月。根拠法は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第二〇条五項。それには、国家公安委員会規則で定めるところにより、認定または検定に必要な試験の実施に関する事務の全部または一部を、国家公安委員会があらかじめ指定する公益法人に行わせることができる旨、書かれてある。

同法の認定・検定に関する規則が告示されたのが、同財団が試験機関に指定されたのと同じ月だから、所管官庁の警察庁は初めから同財団を指定する計画だったとみてよい。しかも以後、型式試験の実施事務についてはすべてを同財団に委託している。

九九年度の「試験事務特別会計」の項目をみると、この型式試験で年間一〇億六〇〇〇万円以上の収入を上げている。これは予算額を二億近く上回り、「一般会計」に計上されたコンピューター犯罪防止などの研究開発や調査研究の受託事業収入全部を合わせたより数倍多い。型式試験の収入増のおかけで、財団の年間収入が支出をほぼ二億円上回り、財団の正味財産も一三億円以上増えた。

この年、パチンコの型式試験を二六六機種行い、「適合が一七七機種、不適合八九機種」という試験結果を出している。検査は「一〇時間の試射」を規則で義務付けられている。試験手数料は都道府県条例で決められ、一つの型式試験当たりパチンコ五台が検査されて、マイクロプロセッサー内蔵式パチンコだと一五二万四二〇〇円(全国共通)もする。財団は補助金や委託費は受け取っていない。