2015年3月11日水曜日

虫歯に悩まされていた子供は、今よりはるかに少なかった

おそらく虫歯に悩まされていた子供は、今よりはるかに少なかったのではないだろうか。その後、成人するまで歯科医にかかったことはなかったが、二十歳台の後半に突然歯肉が腫れだした。同時にそのころから、歯肉全体にわたって鈍い痛みを感じるようになった。そこで近所の歯科医に診てもらうと、軽い歯周病と診断された。そのころ五十歳台だった両親も、ひどい歯周病に悩まされていた。母は、食後、直ちに歯ブラシで歯を磨くようにしてから、かかりつけの歯科医が驚くほど歯の状態が良くなったと言っていた。そこで私もまねをして、食後、何はさておいても歯ブラシで歯を磨くことを習慣にしてみた。すると、たしかに歯の部分の不快感が減り出した。しかし歯肉の部分の鈍痛は、すっきりとは消えなかった。

そうしていたある日、歯ブラシで磨いた後、何の気なしにツマヨウジで歯と歯の間を軽くこそげてみた。すると、想像もしなかったほど大量の歯垢がついてきた。幼いときからツマヨウジは歯肉を傷つけ、歯並びを悪くするからあまり使わないようにと聞かされていた。食物の残湾が挟まったときはやむを得ないが、とにかくツマヨウジは歯に悪いものだから、なるべく使うなといわれていた。

しかしそれまでの歯の磨き方では、歯の間の歯垢がほとんど除去できないことが確かだったので、なるべく歯肉に触らないように、ヨウジの尖端を使って歯垢を取り除くことをしばらく続けてみた。そうすると二、三日もしないうちに、長く続いていた鈍痛も消え、口中がさわやかな感じになってきた。また歯肉に触らない限り出血もないので、以来三十年近く、専門家からは低い評価を受けると想像されるような、いいかげんと思われる歯ブラシによる歯磨きと並行してツマヨウジを用いてきた。ツマヨウジによる歯垢の除去は、平均して一上一日に一度の割で行なってきた。