2013年7月4日木曜日

日本経済の再活性化

硬直化した縦割り予算システムの中でまとまった予算の付け替えができてこなかったこと。「政府の仕事はマクロ政策による経済成長率の確保だ」という強い先入観のある中、自国の観光面での魅力を外にアピールするというミクロ政策がお留守になりがちだったこと。「日本はモノづくり(だけ)の国だ」という同じく強い先入観のある中、モノの輸出だけでなく観光客受け入れも外貨獲得の手段だという認識がなされてこなかったこと。そもそも観光振興は工場誘致などに比べてよほど地域の経済力の底上げに資する施策であることが理解されてこなかったこと。このあたりが、つまりは惰性と先入観が原因なのだと思います。国よりもまず企業の努力、と思う私ではありますが、この点についてはぜひ改善を願う次第です。

もう一つ、日本を訪れる多くのアジア人観光客にとっては、ビザ取得もネックです。相手国にもよりますが、当方から観光でその国を訪問するときはビザは不要なのに、先方から観光で日本に来るときは預金の残高証明などをくっつけてビザを申請せねばならない、という状況があります。不法就労防止が理由なのですが、わざわざ日本まで来るようなアジア人観光客はお金持ちで、日本人などよりはよほどいい家に住んで贅沢な暮らしをしているだけに、むしろ滑稽な感じすらします。私は不法就労を認めよといっているわけではありませんが、「どの国からの人であっても、観光客は日本にとってとてもとても大事なお客さんなのだ」ということを根底から認識した上で、年々制度を改善して行っていただきたいと願っています。

以上、日本経済の再活性化のためにはどうすればいいのか、というテーマで、「生産年齢人口減少」への対処策を語って参りました。お気づきになりましたよね、その中で私がもう一つの重要な話を意図的に避けていたということを。人口の波の生むもう一つの大問題、「激増する高齢者に対応してどのように医療福祉や生活の安定を維持していくのか」という安心安全確保の話を、以上ではまったくお話ししてきませんでした。それは問題がないからではなくて、問題が大きすぎるからです。

ただそれでは余りに無責任ですので、最後に私個人の考える基本的な方向性だけ、幾つか示させていただきます。ただし事実を論理的に展開してきたこれまでと違って、以下お話しするのはまったく全部私の思いつき、言わば「自説」です。いわば坂本龍馬の「船中八策」のようなもので、あくまでざっくりとした大局的なビジョンであり、具体的にどうやってそうするのかという戦略も個別の戦術もお話ししません。それはずっと先の問題です。ですが、ビジョンなくして戦略なく、戦略なくして戦術はありません。今の日本の医療福祉を巡る議論は、ビジョンや戦略を生産年齢人口が増加していた時代のままに放置しつつ、余りにテクニカルに戦術だけに走りすぎていないでしょうか。「暴論」と片付けられるのを覚悟で、誰がどう努力しても究極的にはこうするしかないであろう、という見通しを語ります。

高齢化社会における安心・安全の確保は第一に生活保護の充実で第一に、減り行く現役世代が主として負担する政府の資金は、普通に暮らしていけるだけの蓄えのある人(高齢者も含む)の生活支援には回すべきではありません。限られた政府のお金を個人を対象とした助成に回す場合には、本当に困窮した人、社会的弱者を救済することに集中的に使い、所得に関係なく給付されるような給付金、減税、所得控除の類は廃止していくべきではないでしょうか。と言っておいて恐縮ですが、医療と教育はその例外とします。医療に関してどこに線を引くかは保留しますが、病気怪我のリスクの大きさを考えると、現行の医療保険がそうしているように普通人でも支援を受けられる体制を維持することが重要でしょう。また私は高校までの教育は無料である(十大学レベル以上に関しては、意欲さえあれば、借金ではない奨学金を獲得する機会が豊富にある)べきだと考える者です。