2012年5月23日水曜日

木材全面安の中、カナダ材が逆行高

6月に改正建築基準法が施行され、住宅着工が落ち込んだため、木造住宅に使われる木材製品は全面安の様相となっている。その中でカナダ材だけは例外だ。現地業者のストライキが長引き、極端な供給不足によって需給が逼迫(ひっぱく)しており、逆行高を演じている。

カナダ材の主力品である米ツガ正角(4メートル×10.5センチ角)の国内卸価格は、現在1立方メートル当たり4万2000―4万3000円程度。1カ月前に比べ5000円程度(13%)上昇した。待遇改善などを求める現地製材業者のストライキが7月末から約3カ月にわたって続き、供給が大幅に減少したためだ。対日輸出価格も最近は1立方メートル330―350ドル程度で、ストライキ前に比べ50―70ドル上がった。

カナダ材は主に土台に使われるため、腐食やシロアリを防ぐ薬剤を注入して加工する。輸入量が急減したため、工務店など需要家の中には、一部、国産のヒノキなどほかの樹種に切り替えるケースもあったという。「輸入量は通常の半分以下になった」(土台メーカー)との声もあり、極端な品薄も懸念されている。

もっとも、国内価格の上昇は比較的緩やかだったとの見方もある。国内需要が鈍かったためだ。建築基準法の改正で住宅着工が大幅減となり、本来なら全国的に需要が盛り上がる秋需も不発となった。「需要減のおかげで国内市場もそれほど混乱せずに済んだ」(商社)との見方もある。

ストライキが終わったものの、現地ではなおフル生産には戻っていない。今後、供給量が増えれば、市況が軟化する可能性もあるが、「輸入量が通常に戻るのは来年以降」(建材商社)という。

来春には北日本の降雪地帯などを含め全国的に住宅着工が増える需要期となるほか、改正建築基準法による建築確認の遅れも解消するとみられている。「価格が大きく下がることはないのではないか」(商社)との指摘が多い。